はじめに
電子投票に関する特許には様々な出願がなされています。
ここでは、民間の総会や選挙に関連する代表的な登録済み特許について解説します。
特許第5320529号
【発明の名称】マンションの総会支援システム及び総会支援サーバ
【出願日】平成24年6月13日(2012.6.13)
【特許番号】 特許第5320529号 (P5320529)
【特許公報発行日】平成25年10月23日(2013.10.23)
この特許で保護されている権利は、ビジネスモデル特許ともいえる幅広いものです。
要約すると、以下のようになります。
請求項1:マンションの総会運営者用の総会運営者端末、マンションの区分所有者用の構成員端末、総会支援サーバからなるマンションの総会支援システムが特許の範囲に含まれます。
請求項2:回答受付手段が、区分所有者ごとの回答として、総会への出欠及び委任者の情報を格納することが特許の範囲に含まれます。
請求項3:出欠票作成手段が、出欠フォームに含めるコードを前記区分所有者の情報と対応づけて記録するコードを作成することが特許の範囲に含まれます。
請求項4:コードリーダにより読み取られた情報が既に回答受付手段により管理されている場合、集計を再計算することが特許の範囲に含まれます。
請求項5:総会データベースが、出欠票作成手段による出欠フォームの作成が終了した総会に関して、情報の更新が禁止されることが特許の範囲に含まれます。
請求項6:マンションの総会支援システムを構成する総会支援サーバが特許の範囲に含まれます。
また、発明の詳細な説明に、各種団体が明記されており、労働組合や学術学会、株主総会に至るまで各団体で使用する電子投票の仕組みに言及している事がわかります。
つまり、この特許は、マンション管理団体が開催する総会に限定されたものではありません。
本発明は、各種団体が開催する総会の出欠管理及び委任管理などの各種支援を行うための総会支援システムを提供することを目的としています。
株主総会への言及もあり、マンション管理団体が開催する総会に特化したものではなく、一般的な総会支援システムとして提供されることを意図していいます。
特許第5709918号
【発明の名称】総会支援システム用投票フォーム
【特許番号】特許第5709918号(P5709918)
【登録日】平成27年3月13日(2015.3.13)
【発行日】平成27年4月30日(2015.4.30)
この特許で保護されている権利は、電子投票を用いた総会や選挙が行われるうえで利便性の高い、QRコード付き投票用紙やQRコードを読み取るコードリーダーの使用に言及しています。
当時は、いわゆるガラ携やQRコードリーダー端末を使用していましたが、スマートフォンの利用が加速する事を予想し、スマートフォンの使用にも言及しています。
まさに、新時代を予見した権利範囲と言えます。
要約すると、以下のようになります。
請求項1:マンションの総会支援システムにおいて、総会運営者用端末、区分所有者用端末、総会支援サーバがネットワークで接続され、総会の情報を管理する所有者管理手段や総会情報を格納する総会データベース、回答を記録する回答受付手段、議決数をカウントして総会情報を判断する集計手段を備えたマンションの総会支援システムで、投票フォームに区分所有者の情報と回答の情報が対応づけられたコードが掲載されていることを特徴としています。
請求項2:請求項1において、投票フォームの回答の種類が賛成、反対、棄権であることを特徴としています。
請求項3:請求項1または2において、総会運営者端末が投票フォームを読み取るコードリーダを備え、回答受付手段に記録されることを特徴としています。
特許第5892972号
【発明の名称】投票支援システム及び投票支援サーバ
【特許番号】特許第5892972号(P5892972)
【登録日】平成28年3月4日(2016.3.4)
【発行日】平成28年3月23日(2016.3.23)
特許第5892972号は、遠隔地からの電子投票に関する技術について記載された特許です。
具体的には、電子投票システムにおいて、投票者はインターネットを介して投票用紙にアクセスし、投票先を選択することができます。選択が完了した後、投票者は投票用紙を署名し、投票用紙に含まれる電子署名をシステムに送信します。投票用紙と電子署名は、システムによって検証されます。
この特許は、投票システムにおける情報の暗号化、署名の検証、投票用紙の不正アクセスからの保護に関する技術に焦点を当てています。また、この特許によって、遠隔地からの投票をより安全かつ信頼性の高いものにすることが可能になりました。
請求項1:投票支援システムで、構成員が使用する端末と投票支援サーバでネットワークを構成する。投票支援サーバは、構成員に関する識別情報や議決数情報を管理し、会合データベースに会合情報を格納する。会合データベースには、総会ごとに構成員の情報を記録したコードを議案毎に含み、構成員に配送される構成員固有の出欠票を作成する出欠票作成手段がある。構成員は、出欠票に基づいて議案毎の回答を送信し、回答情報を構成員管理手段と関連づけて記録し、委任者の情報を含む場合は、委任者の議決権数に構成員の議決数を加算する回答受付手段がある。集計手段は、回答と議決数情報に基づいて、投票があった場合は委任者の議決権数を自動的に更新して、議決数をカウントし、会合データベースに格納されている会合情報の議案成否を判断する。
請求項2:請求項1の投票支援システムで、回答受付手段は、構成員ごとの回答として、会合への出欠及び委任者の情報を格納する。
請求項3:請求項1または2の投票支援システムで、会合運営者端末を含むネットワークがあり、出欠票作成手段は、出欠フォームに含まれるコードが、構成員の情報と議案毎の投票の選択肢をそれぞれ対応づけて記録するように作成され、回答受付手段は、コードリーダにより読み取られた情報に基づいて、回答受付手段の情報を変更する。
請求項4:請求項3の投票支援システムで、既に回答受付手段によって管理されている構成員の情報がコードリーダによって読み取られた場合、集計手段は集計を再計算する。
請求項5:会合データベースは、出欠票作成手段による出欠フォームの作成が終了した会合に関して、情報の更新が禁止されることを特徴とする、請求項1から4のいずれか1つに記載の投票支援システム。
この請求項は、会合データベースに関するものです。出欠票作成手段によって作成された出欠フォームに基づいて投票が行われ、集計が終了した場合、会合データベースの情報更新が禁止されることを要求しています。つまり、集計が完了した後に、投票結果を変更することができないようにすることが求められています。
特許侵害に関する弊社の考え方:
以上の電子投票に関する特許は、日本の民間電子投票の先駆けである「e投票」の開発過程に弊社により取得されています。
弊社では、権利の侵害を受けた場合に侵害行為を止めるために法的な手続きを取りますが、電子投票が世の中で広く活用されることを望んでいますので、「e投票」カスタマイズドクラウド提供やライセンス提供を行い、円満な解決で協力関係を築くことを基本理念としています。