1.電子投票とは?
電子投票とは、票を入れる行為を電子化した投票(方式)のことで、インターネットを利用した投票や、投票所で電子機器を使用した投票などが含まれます。電子投票のメリットは、アクセスのしやすさや速度、集計の正確さが向上することです。さらには、選挙や総会を運営する事務局の労働を定型化し、人件費と通信費を大幅に削減するメリットがあります。様々なメリットがある反面、セキュリティやプライバシー保護の問題も存在します。[1][2]
ただし、その問題点は紙による投票行為でも解決している問題とは言い切れません。
さて、電子投票には、
第1世代:投票所、開票所で電子機器を単体として導入する段階(マークシート等)
第2世代:投票所間、投票所と開票所をネットワークで接続する(投票所に置かれたタッチパネル等)
第3世代:任意の投票端末による投票(パソコンやスマートフォン等の利用)
がありますが、ここではインターネットを利用した第3世代の投票に関して記載します。
2.電子投票の用語集
以下に、電子投票に関連する主な用語を挙げます。
- アクセスコントロール:電子投票システムへの不正なアクセスを防ぐためのセキュリティ手段。
- 暗号化:情報を特定のルールに基づいて変換し、不正アクセスや漏洩を防ぐための手法。
- インターネット投票:インターネットを使用して行われる電子投票の一種。
- ウイルス対策:電子投票システムをウイルスから保護するための対策。
- エンクリプション:データを暗号化し、不正なアクセスや改ざんから保護する手法。
- オンライン投票:インターネットを通じて行われる電子投票。
- カウント:電子投票での得票数の集計。
- キオスク端末:投票所に設置された電子投票機。
- クリプトグラフィ:情報のセキュリティを確保するために、暗号化や復号化の技術を用いる学問。
- ケーストラブル:電子投票システムの不具合や問題。
- コンピュータセキュリティ:電子投票システムを不正アクセスや改ざんから保護するための対策。
- サイバーセキュリティ:インターネット上の情報やシステムを保護するための対策。
- システム管理者:電子投票システムを管理・運用する担当者。
- スマートフォン投票:スマートフォンを用いて行われる電子投票。
- セキュリティオーディット:電子投票システムのセキュリティ対策を評価・検証するプロセス。
- セキュリティポリシー:組織における情報セキュリティに関する方針や規定。
- セキュリティ対策:電子投票システムを不正アクセスや改ざんから保護するための対策。
- タイムスタンプ:電子投票のデータに時刻情報を記録する手法。
- データバックアップ:電子投票データを保護するために、別の場所にコピーを保存すること。
- デジタル署名:データの送信者や改ざん防止を確認するための電子的な署名。
- デジタル証明書:電子的な証明書で、デジタル署名の正当性や発行者の情報を保証するために使用される。
- トランスペアレント:電トランスペアレント:電子投票システムが透明性を持ち、選挙過程が監視可能であること。
- ナレッジベース:電子投票システムに関する情報や知識を集めたデータベース。
- ネットワークセキュリティ:ネットワークを通じて行われる電子投票のセキュリティ対策。
- ハッカー:不正アクセスやシステムへの攻撃を行う者。
- パスワード認証:投票者の本人確認を行うために、パスワードを用いる方法。
- ハードウェアセキュリティモジュール:暗号鍵の生成や管理を行う専用のハードウェア。
- ビットコイン投票:ビットコインを利用した電子投票システム。
- プライバシー保護:投票者の個人情報や投票内容を保護するための対策。
- ブロックチェーン投票:ブロックチェーン技術を利用した電子投票システム。
- ブートローダー:電子投票機が起動する際に、投票システムを安全に立ち上げるためのプログラム。
- ペーパートレイル:電子投票の際に同時に紙の投票も記録することで、後から確認や監査が可能な状態を保つ仕組み。
- マルウェア:コンピュータシステムに悪意のあるソフトウェアやプログラム。
- マルチファクター認証:二つ以上の認証要素を組み合わせることで、セキュリティを向上させる手法。
- ユーザーアカウント:投票者が電子投票システムにログインするために使用するアカウント。
- ユーザー認証:投票者の本人確認を行うための手続き。
- ランサムウェア:コンピュータシステムを不正に制御し、身代金を要求するマルウェアの一種。
- リアルタイム監視:電子投票システムが選挙過程をリアルタイムで監視する機能。
- リモート投票:インターネットを通じて遠隔地から行われる電子投票。
- ワンタイムパスワード:一度限りの使用が可能なパスワード。セキュリティ向上のために用いられる。
3.セキュリティとプライバシーの課題
電子投票にはセキュリティやプライバシーの課題があります。不正アクセスや改ざんを防ぐための対策が必要ですが、完全なセキュリティは難しいとされています。ブロックチェーン方式は確かに優れた技術ですが、デジタル通貨での不正が報告されている現状では、完全なものとは言えません。また、投票者のプライバシー保護も重要な課題であり、投票者の情報が漏洩しないようにする必要があります。[3]
紙による投票の問題点に関しては、こちらのコラムで説明しています。
【投票用紙で本人を特定できる? 無記名投票が難しい理由とは?】
4.電子投票の普及と今後の展望
公職選挙における電子投票の普及には、技術的な課題や法制度の整備が必要です。国や自治体は、電子投票システムの信頼性確保のために取り組んでいます[1]。民間で最も利用されている電子投票は「e投票」と呼ばれており、すでに大手労働組合や大企業の従業員代表選出など、公職選挙に匹敵する厳格さが要求される環境で多くの実績があり、安定して稼働しています。現在のバージョンでは、ブロックチェーン技術は使用されていませんが、暗号化やマルチファクター認証などの実績のある安定した技術を利用して、動作が保証された信頼性が高いシステムとなっています。
電子投票システムにおいては、強固で安定した動作が保証されている事が最も重要であり、民間で日常的に利用され信頼感が増すことにより、公職選挙での採用が現実的になるものと考えられます。
5.まとめ
電子投票は、アクセスのしやすさや速度、集計の正確さが向上する一方で、セキュリティやプライバシー保護の課題があるとされ、日本の公職選挙では使われていません。
しかし、「e投票」のような実績のある安定したシステムは信頼性が高く、民間の選挙や総会で着々と導入事例を増やしており、1団体の規模も地方自治体の公職選挙に匹敵する場合もまれではありません。
【トヨタ自動車労働組合の事例】
今後の技術的な進歩や法制度の整備により、電子投票がさらに普及することが期待されています。