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マンション管理組合のプライバシーと電子投票

スマートフォン 簡単投票システム

電子投票システムがマンション導入され始める以前のお話です。
筆者が管理組合理事長を経験した時、総会にある議案が提出されました。
その内容は、住民(区分所有者)の中でも意見の分かれるであろうものでした。
総会開催にあたり、区分所有者には、事前に議案書と共に、出欠連絡票、委任状、議決権行使書(事前投票用紙)が配布されました。
これらの回答書類はエントランス横にある、管理人室に置かれた投票箱に投票してもらう事としました。

この運用は、今でも多くのマンションで実施されている事と思います。
しかし、ここでセキュリティー上のインシデントともいえる事態が発生しました。

総会前日に管理人室を訪ねると、そこには数人の理事がこれまで集まった投票箱の内容を集計していました。
これは、理事長である筆者の指示ではありません。
そこまでなら、「ご苦労様です」と一言かけてで済んだかもしれません。
しかし、そうではありませんでした。
開票した役員は、模造紙に部屋番号と投票内容を書き込んでいました。

秘密投票の原則(投票内容の非公開保証)が崩れていたのです。
理事と言っても、多くの場合住人でもあります。
隣家の考えに興味を持つ気持ちは分かりますが、理事の中には噂話が大好きな方も含まれています。
住人にとっても、自分の投票内容が他人に漏れる事が分かっていては、正直に自分の意思で投票ができなくなります。

もし、電子投票が導入されることになると、情報漏えいの問題や改ざんの問題を心配される方がいらっしゃいます。
しかし、むしろ怖いのは既存の紙による運用です
紙による運用は善意の担当者を前提としていますので、発生しうる問題を物理的に防ぐためには、監視などで多額の人件費が必要になります。
業界標準的なe投票(いいとうひょう)等の電子投票では、そもそもセキュリティー対策を標準化しているうえに、秘密投票が保証されています。
また、総会会場での挙手も自分の意見を他人にさらす瞬間となります。
このような場合でも、総会会場でご自分のスマホに投票が可能な電子投票は、あらゆるケースで個人のプライバシーを守るように設計されています。
集計に携わる担当者はごく少数で済みますし、監査証跡も残ります。

さらに、マンションで運用される電子投票は、一般的には個人情報の登録は行わず部屋番号のみの登録で運用されます。
電子投票になったからと言って、個人情報が漏えいされることは物理的に発生しません。

生涯住み続けるであろうマンションでの人付き合いは、微妙な問題でこじらせたくないものです。
紙による古い運用がプライバシーを守っているのか?
あるいは電子投票の導入がプライバシーを守るのか?
公平性、正確性、秘密投票の確保、利便性、人的コストの削減、郵送費の削減など、全ての面において、電子投票の優勢は明らかです。

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