株主総会、分譲マンションの総会、労働組合・学術学会の大会などは、法律により意思決定の最高機関として開催が義務付けられています。
総会の規模の大小にかかわらず、開催時の一番の心配事は、声を出さない多派の存在と、声の大きな少数派の存在です。
総会会場での大きな声は、会場の雰囲気を一変させるだけでなく、自分の意見での挙手をためらわせる原因になります。
マンション総会は小規模から中規模までありますが、そこで発生する問題はまさに大規模総会の縮図です。
総会に電子投票(ウェブ投票、ネット投票)を用いる事により、総会の準備や開催手順が定型化され、総会に人件費が大幅に削減されることは、何度か取り上げて来ましたが、今回は安定した総会環境が作ることに着目します。
まず、実際の総会は、どのような段取りで行われるでしょうか?
総会開催手順
総会は以下のような手順で行われます。
1.開催通知の送付
2.出欠連絡・欠席の場合は、議決権行使又は委任状の提出
3.総会会場での受付
4.出席者数、議決権行使、委任状を集計し、総会成立の確認
5.議案の審議
6.採決(会場での賛否と、議決権行使、委任状を集計し、議案ごとの可決ラインを確認し、可決・否決を判断する)
7.結果の公表
8.議事録の作成
総会の電子投票を用いた運営
総会の開催を電子投票を導入した形で運営するためには、以上の全ての機能を有し、紙による投票が行われた場合も電子化して集計し、可決・否決を判断する必要があります。
それらの機能全てを有している「e投票」は、電子投票システムとしてのビジネスモデル特許や総会会場での投票方法や投票用紙に特許を取得しています。
総会運営での一つの疑問
総会を運営する上で最も頭の痛いものに、総会会場の確保が挙げられます。
総会は、原則として全員が出席し、その場で決議する事が昔ながらの考え方で、いまでも「全員が出席すべき」と考えられる方は、多くいらっしゃいます。
その為、出席者の数によっては広い会場の確保に、手間と時間、そして経費を必要とします。
さて、ネットワーク環境が整備された現代においても、総会への出席は必須なのでしょうか?
多くの方が勘違いをしていますが、総会は役員会や理事会で審議されてきた内容を最終判断(決議)する場所であり、最初から審議をやり直す場所ではありません。
重要なことは決議への参加であり、現地への出席ではない。
電子投票のメリットは、声を出さない多数の意見を得る事にあると考えられます。
電子投票導入前の総会
図には、興味深いデータを示しています。
これは、705戸の大型マンションにおける、総会開催に関するデータです。
総会電子投票システム導入前の、2013年3月の総会出席者数は132名で、この当時はマンションのコミュニティールームでは入りきれない為、ホールを借りての総会を行う必要がありました。
しかしながら、委任状及び議決権行使書の提出率は67.9%であり、事前の意思表示により普通決議の可決は可能ですが、3/4以上が必要な規約変更などの特別決議は、当日の出席者をカウントするまで採決ができない可能性がありました。
電子投票導入後の変化
2014年3月から総会電子投票システムを導入し、状況が一変します。
会場を訪れる出席者は減少していますが、事前の意思表示が明らかに増加し、特別決議の可決条件もクリアできるようになりました。
それ以降、総会出席者は減少していますが、事前の意思表示数は増え続ける傾向にあります。
議案はスムースに可決され、しかも総会用にホールを借りる必要もなくなりました。
重要案件を審議するための臨時総会も、総会を開催する上での手間や費用が減少している為に、頻繁に行うことが可能となり、素早く行動を起こすことのできる管理組合に成長していることが分かります。
電子投票の導入で意見交換が活発に
総会会場へ足を運ぶ人は確かに減少しました。
それでは、各区分所有者は議案に対して興味を失ったのでしょうか?
実は、その逆です。
こちらのマンションでは、電子投票システムの導入に伴い、頻繁にアンケートを行う事が可能となりました。
アンケートには、区分所有者がスマホから記入する「ご意見欄」もある為、意見は理事会内で共有する事も可能となりました。
その為、理事会及び管理会社は、区分所有者全体の意向をリアルタイムに把握する事ができるようになり、総会議案が提示される時点で、反対すべき議案がある可能性が少なくなりました。
つまり、日頃の意見交換はアンケートを元に理事会で審議されている為、総会でわざわざ意見を述べるまでもない、コミュニケーションが充分な環境が実現されました。
そもそも、年に一度の定期総会で全員の意見を伺っていたのでは、議案の作成自体が無駄に終わる可能性もあります。
①アンケートで全体の意見を抽出する。
②理事会はそれぞれの意見を検討する。
③総会は決議する場所。
このように考えると、総会は非常に安定した状態で開催する事が可能になります。
総会用の電子投票システムを活用する事により、紙を中心とした総会とはかけ離れた高度な運用が実現できます。
ちなみに、投票に関して事前にスマホ使用方法の説明会を開いたそうですが、出席された方は数名で、その内容も説明はほとんど不要だったとの事です。
また、マンション用のシステムは紙での運用も併用が許されており、スマホを利用できない方を排除しません。
投票率に関しては、全ての年齢層で上昇する事が分かっており、これは、高齢者ほど「歩かなくてよい」というメリットに敏感なことを示しているのかもしれません。
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