ファーストビュー背景
記事一覧に戻る

働き方改革とは?「労働組合は会社の敵」なんて言ってられない!

スマートフォン 簡単投票システム

かつて「ブラック企業大賞」を受賞した、某大手ブラック居酒屋チェーンは今やホワイト企業としてメディアに取り上げられるまでに再起を果たしました。
この企業を例に挙げれば、2006年に賃金未払い是正勧告、2008年には新入社員が過労による自殺を遂げて、社会問題にまで発展したことは多くの人の印象に残っていることでしょう。

’08年6月、ワタミフードサービスへの入社から2か月後、森美菜さん(享年26)が自殺週刊女性PRIME / 2017.9.26号

若手社員を中心に、過労自殺を図る労働者は決して少なくありません。そんな劣悪な環境の根源でもあるブラック企業の行く末は決まっています。

ワタミ ’15年3月期には128億円にまで最終赤字が拡大。’15年に介護事業を210億円で売却し、倒産を逃れる週刊SPA! 編集部 / ブラック企業の代名詞「ワタミ」がホワイト化・・・何があった!? / 2019.11.23

2015年にはブラックのイメージが定着したことに起因して128億円まで経営赤字が膨らんだ某大企業が取り組んだことを例に、労働組合と会社の関係、そして2019年4月1日に改正された制度をはじめとする働き方改革にフォーカスしてみましょう。

従業員の負担を軽減する

この項目のポイントは3点。1点目、仕事の時間を減らす。2点目、時間当たりの生産効率を上げる。3点目、メンタルヘルスで労災を予防。

24時間営業のコンビニを例に挙げると、近年は営業時間の短縮が加入店から叫ばれています。従業員の負担を軽減し、時間当たりの生産効率を上げることがブラック企業には求められます。

また、企業カウンセラーを雇用したり、メンタルヘルス相談窓口を外部委託することも従業員の負担を軽減する働き方改革です。

長時間労働やメンタルヘルス不調などにより、健康リスクが高い状況にある労働者を見逃さないため、医師による面接指導が確実に実施されるようにし、労働者の健康管理を強化します。厚生労働省 / 「産業医・産業保健機能」と「長時間労働者に対する面接指導等」が強化されます / 2019.3

基本給を底上げする

この項目のポイントは2点。1点目、従業員が求めるのはお金。2点目、労働組合は賃金の交渉も。

働き方改革の導入で「現在お勤めの会社の労働環境の中で、あなたが一番変わって欲しいと思うものはどれですか?」という設問では、「給与面」が43.96%でトップ。以降は「労働時間」「休暇日数」と続き、それぞれ21.16%と15.95%だった。ITmedia / 働き方改革、半数が「内容理解していない」 6割が「成功しない」 変わってほしいのは「給与」 / 2019.9.30

労働者の多くが企業に求めるのは「給与」であることは言わずもがな、人材の流亡を防ぐには賃金の底上げは避けて通れません。

某ブラック企業の労働組合は春季労使交渉において経営陣へ基本給の底上げを要求し、交渉の末に給与面でブラック企業の汚名を返上しました。

インターバル制度を導入する

この項目のポイントは3点。1点目、終業後に8時間以上の休息。2点目、労働者の生活や睡眠時間を確保。3点目、24時間体制の職場に働き方改革を。

勤務終了後に8時間以上の休息時間を設ける制度は、働き方改革を推し進める上で見逃してはならない制度です。

「勤務間インターバル」は、勤務終了後、一定時間以上の「休息時間」を設けることで、働く方の生活時間や睡眠時間を確保するものです。2018年6月29日に成立した「働き方改革関連法」に基づき「労働時間等設定改善法」が改正され、前日の終業時刻から翌日の始業時刻の間に一定時間の休息を確保することが事業主の努力義務として規定されました(2019年4月1日施行) 厚生労働省 / 「勤務間インターバル」とは

たとえば消防士や警察官、看護師あるいは警備員や医者など、他にも24時間の勤務体制にある職業であればインターバル制度は働き方改革において大きな役割を果たしてくれます。

労働組合を発足する

この項目のポイントは3点。1点目、経営陣への要求は労働組合から。2点目、締結が義務となる労使協定も。3点目、労働組合と従業員代表者の違い。

もしも会社の経営陣に対して働き方改革を求めるのであれば、まずは従業員の過半数を代表する人を選出しなければなりません。

冒頭から例に挙げている某ブラック企業では、アルバイトを含む全従業員を対象とした労働組合を結成し、組合を通じて経営陣へ要求を届ける仕組み作りが為されました。

ワタミはブラック企業として厳しい批判を受けてきた。根本から会社の体質を変え、二度と同じようなことを起こさないためには、従業員自身の意識改革が必要と感じ組合を立ち上げた東洋経済ONLINE / ワタミ「脱ブラック宣言」の知られざる裏側

労働組合を発足していない企業はもちろん少なくありません。
2019年4月1日に改正された36協定をはじめとする労使協定の中には、全従業員の過半数から支持を受けている従業員代表者(過半数代表者)が会社と締結することが義務付けられている協定もあります。

「36協定」を締結する際は、労働者の過半数で組織する労働組合、その労働組合がない場合は労働者の過半数を代表する者との、書面による締結をしてください。 厚生労働省 / 事業主・労働者の皆さまへ

労働組合と従業員代表者(過半数代表者)の大きな違いは主導性の違いにあります。

従業員が主体となって発足されるのが労働組合であれば、従業員代表者は人事や総務などの会社経営に直接かかわる人たちが主導して選出されます。

労働組合は従業員2人から発足できる

この項目のポイントは3点。1点目、会社への抗議は個人では難しい。2点目、でも2人なら会社と交渉できる。3点目、20人、200人なら改革もできる。

突然の解雇通知、転勤命令、減給などを会社に抗議したり交渉してみても、話し合いに持ち込むことすら難しいでしょう。しかし、労働組合が団体交渉を企業に対して申し込む場合は会社側の対応が変わってきます。

たとえば同じように解雇通知を受けた境遇の労働者が集まって労働組合に結集した場合、労働組合法第7条2項に基づいて企業と交渉することができます。

使用者は、次の各号に掲げる行為をしてはならない。(中略)使用者が雇用する労働者の代表者と団体交渉をすることを正当な理由がなくて拒むこと。e-Gov / 労働組合法第7条2項 / 2015.4.1施行

つまり労働組合が団体交渉を申し込む場合、企業は交渉に応じなければなりません。

ブラック企業のブラックな環境は従業員の手で改善することができます。
まずは、会社と交渉するところから始めてみてはいかがでしょうか?

選出手続きは、労働者の過半数がその人の支持していることが明確になる民主的な手続きがとられている必要があります。 厚生労働省 / 事業主・労働者の皆さまへ

とは言え、現実に2人で労働組合を発足することは稀かと思われます。具体的には数百人、数千人、大企業であれば数万人にも及ぶでしょう。


投票所いらず、投票箱も不要、必要なのはスマホだけ
組合選挙をネット投票で行うならこちらから。

SNSで記事のシェアをお願いします



記事一覧に戻る
消す