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意向投票とは? 学長選考で考える意向投票の必要性

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国立大学が独立行政法人として法律的に確立されてから、現在まで17年ほどの年月しか経過していないことを現行の大学生の多くはきっと知らないかもしれません。

大学の自主性を尊重しつつ大学の構造改革を目的に国立大学法人法が定められたのが2004年頃とすると、国立大学法人は意外にも歴史が浅く感じられ、いまだ大学運営の在り方に模索を続けていることが見受けられます。

2004年の国立大法人化以降、約2割に当たる17校の国立大で、学長を選ぶ際に参考とする教職員の「意向投票」が廃止された。04年以降に実施された意向投票結果の約1割が覆され、別の候補が学長に選ばれていたことが分かった。現場からは「大学の自治が崩壊する」と危ぶむ声も聞こえてくる。
NEWS powered by Infoseek News(毎日新聞) / 2割で教職員投票廃止 1割で投票結果覆す 国立大学長選考 自治危ぶむ声も / 2021年1月6日(リンク切れ)

毎日新聞が全国の国立大学法人に実施したアンケートによれば、複数の学長予定者を選考する際にその大学の教職員から意向投票を受けることを廃止した大学が一定数いることが分かります。

学長はどのようにして選ばれ、意向投票は選考でどのような役割を果たすのか、考察をまとめてみました。

学長選考会議とは? 学長が決まるまでの工程

学長選考会議とは? 学長が決まるまでの工程



一般的には学長の任期満了から数ヵ月前、あるいは辞任、解任などの事由が発生する場合には学長候補者を学内の教職員や教育研究評議会、経営評議会が複数名を推薦します。
大学によっては学内の教職員が推薦に関わらない、あるいは評議会が推薦に関わらない場合もあるようです。

推薦された複数名の学長候補者は学長選考会議において次のような形式の手順を進んで最終的には1名の学長予定者が選出されます。

  • 推薦に係る書類の確認
  • 学長選考会議における面接
  • 所信表明の会
  • 教職員の意向投票(意向調査)

法律上、学長は学長選考会議が選考しなければならず、推薦や意向投票はあくまで参考として捉えられるケースが多いようです。

選挙日程の公表から学長選考会議によって任命の申出がなされるまでの流れ

学長が就任するまでの流れ

では、意向投票は廃止しても問題はないのでしょうか?

意向投票は廃止しても問題ない? 法の解釈

意向投票は廃止しても問題ない? 法の解釈



国立大学法人法では学長の任命に関して次のように定められています。

第十二条 学長の任命は、国立大学法人の申出に基づいて、文部科学大臣が行う。
2 前項の申出は、第一号に掲げる委員及び第二号に掲げる委員各同数をもって構成する会議(以下「学長選考会議」という。)の選考により行うものとする。
一 第二十条第二項第三号に掲げる者の中から同条第一項に規定する経営協議会において選出された者
二 第二十一条第二項第三号又は第四号に掲げる者の中から同条第一項に規定する教育研究評議会において選出された者
3 前項各号に掲げる者のほか、学長選考会議の定めるところにより、学長又は理事を学長選考会議の委員に加えることができる。ただし、その数は、学長選考会議の委員の総数の三分の一を超えてはならない。
4 学長選考会議に議長を置き、委員の互選によってこれを定める。
5 議長は、学長選考会議を主宰する。
6 この条に定めるもののほか、学長選考会議の議事の手続その他学長選考会議に関し必要な事項は、議長が学長選考会議に諮って定める。
7 第二項に規定する学長の選考は、人格が高潔で、学識が優れ、かつ、大学における教育研究活動を適切かつ効果的に運営することができる能力を有する者のうちから、学長選考会議が定める基準により、行わなければならない。
8 国立大学法人は、第二項に規定する学長の選考が行われたときは当該選考の結果その他文部科学省令で定める事項を、学長選考会議が前項に規定する基準を定め、又は変更したときは当該基準を、それぞれ遅滞なく公表しなければならない。
9 監事は、文部科学大臣が任命する。
e-Gov / 国立大学法人法第12条 / 2003年10月 制定

つまり経営協議会や教育評議会が学長を選出しても、学長選考会議が反対すれば学長は別の候補者になります。

少なくとも意向投票や推薦を行わなければならない、ということは法律上で明記されていません。

意向投票を実施した方が良い理由とは?

意向投票を実施した方が良い理由とは?



意向投票が選考に左右されることは少ないでしょう。しかし、学内の自治を全ての関係者が監視をする目的で意向投票を行うことは、一定の意味があるとも考えられます。
たとえば、意向投票による結果と選考会議によって選考される学長予定者に大きな乖離が見られれば、学長選考を進めるべきではないと言えます。

極端な話しで学長による大学の独裁化があれば、教職員のボイコットや大量の退職者が噴出するかもしれません。
意向投票を実施することでその傾向ははかれると考えられます。

最終的に学長予定者を決定するのは学長選考会議のため、教職員による意向投票を行うことが過度に学内の意見に偏るような選考方法である、とは考えずらいのではないでしょうか?

意向投票を実施した場合、学長選考会議は教職員の意向を把握することで学長選考の裏付けを得ることができる。

 

学長選考会議と教職員の温度差

投票で実施される意向投票とは?

投票で実施される意向投票とは?



投票者が誰に投票したか、というプライバシーが守られる投票のシステムこそ、大学の意向投票や選挙には大きな効果があります。
投票システムは教授会のような大学の人事に関わる投票から、教職員による意向投票、理事選挙、議案の採決まで、さまざまな目的で使われています。

投票のシステムに学長候補者や投票者の情報を登録し、投票者のメールアドレス宛てに投票サイトのURLを送ることで直接無記名の意向投票が行えます。
メールアドレスを持っていない、という人でもQRコードの印刷された用紙を配布することで同様に直接無記名による意向投票が可能です。

大学の自治に民主的で安定的な運営を求めるのであれば、投票による意向投票は大きな意味がある、と断言できます。
システムの詳細については、下記をご参考ください。

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