新型コロナウイルスの影響を受け、一部著名人からは7月に行われる都知事選のオンライン選挙実現について言及が為されました。
これに一部政治家をはじめとする多くの人々が賛同しています。
しかし、都知事選をはじめとする公職選挙において、オンライン選挙を実現するにはいくつかの問題が存在します。
果たして都知事選までにオンライン選挙は実現するのでしょうか?
意外と多いのは「オンライン選挙のシステムがまだ開発されていない」と思っている人々です。
Twitterより一部抜粋
ソフトの開発が急がれますね
ぜひ作ってほしいなー。
オンライン選挙にしたら、企業票が消し飛んでしまうかも。だから、逆にやらないのかも
オンライン選挙を実現するには大きく分けて2種類のハードルが存在します。
- システムを開発する
- 法律を改正する
前者の「システムを開発する」という部分では既存の技術で解決できる部分が多いため、こちらは省略します。
◆電子投票と個人認証の関係
ここでは後者の「法律を改正する」部分を重点的に見てみましょう。
オンライン選挙の実現に向けたゴール地点は、法律の改正です。
都知事選をはじめとする公職選挙は「公職選挙法」という法律によって投票方法が定められています。
地方公共団体の議会の議員又は長の選挙の投票(次条、第四十八条の二及び第四十九条の規定による投票を除く。)については、地方公共団体は、前条第一項の規定にかかわらず、条例で定めるところにより、選挙人が、自ら、投票所において、投票用紙に氏名が印刷された公職の候補者のうちその投票しようとするもの一人に対して、投票用紙の記号を記載する欄に○の記号を記載して、これを投票箱に入れる方法によることができる。
つまり投票する人は紙を投票箱に入れなければいけない、と法律で決められています。
スマホは紙ではありませんし、ましてスマホを投票箱に入れようと考える人はいないでしょう。
「法律を改正すれば実現できるじゃん」と楽観的に考えることは難しいでしょう。
なぜなら、法律を改正するには政治家の理解を得なければならないからです。
たとえば、企業や団体の組織票によって支えられている政治家であればオンライン選挙を好意的には受け止めないでしょう。
組織票を上回る浮遊票が、他の政治家に渡ることを面白く思わない政治家が一体どれほどいると思いますか?
もちろん全ての政治家がそうである、とは言い難いです。
しかし、少なくとも大多数が安心して使えるシステムのオンライン選挙でなければ、政治家が首を縦に振らないことだけは確かでしょう。
結論から言ってしまえば、インターネットに接続している以上は100%安心安全なセキュリティーを組むことは不可能です。
極端な話では、ブロックチェーンにも少なからず脆弱性が指摘されています。
今まさに始まったばかりの5G回線環境ではセキュリティー面の欠陥も叫ばれています。
参考
BLOCKCHAIN EXE / ブロックチェーンの脆弱性 Fake Stake攻撃とは / 2020.3.10更新
WIRED / 5Gの技術仕様には、いまだに「11の脆弱性」が潜んでいる / 2019.11.22
だからといって、オンライン選挙を諦める理由にはなりません。
なぜなら「従来の選挙が100%安心安全だ」と言える根拠もまた、存在しないからです。
選挙管理委員が集計を間違えることも、結果を改竄することも、紙を使った投票においても可能性を捨てることはできません。
あるいは投票箱ごと盗む人がいない、と断言できるのでしょうか?
つまり、100%の安心安全を追い求めることは必要であっても、100%の安心安全を実現できなければオンライン選挙を行うことはできない、と考えるのは筋違いだと言えます。
すでに存在するシステムを用いてオンライン選挙を実現することは可能ではあります。
しかし、法律を改正できるだけの民意を揃えることは、まだまだ適いそうにありません。
まずは、小さい規模からオンライン選挙を始めてみるのはいかがでしょうか?
- 議員、一般党員、サポーターでそれぞれ保有する票数を変えて選挙を行うならこちらから。